メッセージ
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「善光寺の体験」
日本画家 千住 博さん
一口に仏教と言ってもいろいろあります。
私が襖絵を手掛けさせていただいた大徳寺 聚光院(京都市)は茶の聖地。屏風を奉納させていただいた薬師寺は中国からの一大文化もンターのような所。そして2020年に障屏画を奉納させていただいた高野山 金剛峯寺は心をリセットするために世界から多くの方が訪れる聖地でした。その奥の院ではまだお大師様が確かに存在されている、と確信もしました。
さてその中、善光寺では興味い体験をしました。こ本尊真下の暗い回廊の中に入り、手探りで進み、形び光の世界に戻るというものです。私はこの体験がいくつものとても大切なことを気付かせるものだったと強く記憶しています。他のどの寺とも異なる善光寺の魅力を一言で語ることは至難ですが、それでも言えることは市井の人々に最も愛されている聖地であり続けているという事でしょう。それを語るのが門前町の隆盛なのでしょう。すばらしい善光寺とご縁があることは、私の誇りです。
「心の原郷 善光寺」
長野県立美術館 松本 透様
長野駅から中央通り(旧・北国街道)を北に向かって歩くと、まもなく、急坂の行く手に善光寺仁王門の屋根が見えてくる。背後に小高い山々を負い、眼下に町を見晴らす、まさに扇のかなめの高台にこの寺は位置していることがよくわかる。
2021年4月、善光寺本堂の東側に長野県立美術館の新しい建物がオープンしたが、ここからの眺めがまた素晴らしい。縁や黄や茶のこまかな絵具を散りばめたような里山を背景に、国宝の本堂をはじめとする堂塔の建ち並ぶさまを見ていると、何というか、はるか大昔に人びとが見ていたのと同じ景色を今また自分も見ているような不思議な感覚。時の流れを超えた別天地を目にしているような感じがしてくるのである。
世界遺産には文化遺産と自然遺産と複合遺産の区別があるようだが、善光寺をそれらに当てはめるのはむつかしい。
寺城を囲む塀や垣根をもたず、宗派の別を問わないこの寺は、ひょうとしたら人と自然、祈りと暮らしが一つに溶け合った、わたしたちの心の奥底のふるさとを垣間見せているのではないだろうか。
「タテナガの寺」
建築家・建築史家 藤森 照信さん
子どもの頃、初めて善光寺を訪れた時、仁王の力強い姿
に見惚れ、後に高村光雲の作と知り納得した。
建築を学ぶようになってから訪れた時は、二つのことに善光寺らしさを覚えた。
一つは、上り坂を直進する参道と参道沿いの歴史光景の面白さ。あれほど直進する参道は全国的にも善光寺だけだし、今はやや少なくなったとはいえ、歴史を感じさせる建物は貴重だ。
二つ目は、建物そのものについてで、なんと進行方向に対し縦長の平面を採っているではないか。ヨーロッバの教会ならともかく、古来、横長を基本とする日本の宗教建築で縦長は極めて珍しい。
日本最大規模を誇る檜皮葺の屋根が、参道を上り切った位置に青空を背にグイッと現れる類まれな光景は世界に誇っていいと思う。
